自己株式消却

自己株式の消却とは、「会社がその存続中に特定の発行済株式を絶対的に消滅させる」会社の行為をいう。

商法上、自己株式消却の方法として減資手続による消却、定款もしくは定時株主総会の決議に基づく配当可能利益による消却等が認められているが、1997年6月から施行された「株式消却特例法」により、公開会社については、定款の規定に基づく取締役会決議による利益消却が可能となり、さらに、98年3月の同特例法の一部改正により、時限措置ながら資本準備金を財源とする消却が可能となった。

有償による自己株式の消却は、バブル期に肥大化した株式数、株主資本を減少させるため、株式需給バランス、ROE(株主資本利益率)等の改善を通じて株価対策の手段となるほか、余剰資金の活用による配当負担の軽減策としても利用されている。

また、近時、株式の持ち合い関係解消の動きが進む中で、株式売却による市場での需給バランスの悪化を防ぐために、持ち合い関係にある株式を買い取り消却する動きも出てきている。

なお、従来この自己株式消却の実効性を妨げる要因となっていた「みなし配当課税(売却株主の受取金額のうち、払込み額を上回る部分を配当金とみなす一方、既存株主についても現金等の受取りがないにもかかわらず一定金額を配当金とみなす課税制度)」については、時限的にその適用を停止する租税特別措置法が定められている。

大橋直久(マナー講師)

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このページは、-が2016年5月12日 00:48に書いたブログ記事です。

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