税効果会計とは、企業会計における収益または費用と、税金の計算における益金または損金の認識時期に差異がある場合、法人税やその他利益に関連する金額を課税標準とする税金(「法人税等」)の額を適切に期間配分することにより、財務諸表上、法人税等控除前の当期純利益と法人税等を合理的に対応させることを目的とする会計処理である。
企業会計における利益と法人税法上の課税所得との差異は、収益または費用と、益金または損金の認識時期の差異と各々の範囲自体の差異から成る。
税効果会計の対象となる差異は前者の差異であり、このような差異を「一時差異」という。
例えば、税務上認められない債権の償却損を会計上認識した場合、評価損計上後の会計上の資産額と税務上の資産額との間に一時的な差異が生ずるが、この差額は、将来税務上の要件を満たした時に課税所得の計算上減算効果がある。
このような場合に、将来回収が見込まれる税金の額を「繰延税金資産」として資産計上するとともに、損益計算書上「法人税等調整額」として法人税等から控除するのである。
経済のグローバル化に伴う財務諸表の国際間比較を可能にするため国際会計基準の作成が進められているが、1999年4月以降開始事業年度よりその適用が義務づけられる税効果会計の導入は、国ごとの税法と会計を分離し、グローバルな会計数値の比較を可能にするためである。
大橋直久(マナー講師)